
製造業におけるホームページは、単なる会社案内にとどまらず、「集客」・「採用」・「ブランディング」の要となる存在です。しかし、どのようなデザインが効果的なのか、他社はどのような工夫しているのか、具体的なイメージを掴むのは意外と難しいものです。
本記事では、いくつかの製造業のホームページ事例をカテゴリ別に紹介するとともに、制作時に押さえるべきトレンドやポイントをわかりやすく解説します。
デザインのポイントを学び、自社のホームページをさらに効果的な営業ツール、採用ツールへと進化させるために、是非最後までご覧ください。
製造業ホームページの役割と最新トレンド
かつてのホームページは、企業情報や製品カタログを掲載するだけの情報掲載という役割が主流でした。しかし近年では、集客・ブランディング・採用といった複数の目的を同時に担う戦略的ツールとして、その重要性が大きく高まっています。
そして、このような目的を達成するために、デザイン面にも力を入れたWebサイトを作る企業が増えています。
具体的には、
- 動画やアニメーションによる“動き”のある表現
- 製品を直感的に伝える3Dビジュアル
- 使いやすさを重視したUI・UX設計
- 企業理念や世界観を伝えるブランディング重視の構成
上記のようなデザインや演出を反映したホームページの制作が、近年では主流となってきています。
デザインの参考になる製造業ホームページ事例
ここからは、実際に製造業ホームページの中から、デザイン性に優れた事例をカテゴリ別に紹介します。単なるかっこよさやおしゃれさではなく、「伝わる」ことに重点を置いた構成・表現がどうなっているのかを知り、自社サイトに活かせるヒントを探っていきましょう。
見せ方で差をつけるビジュアル重視サイト
製造業において「ビジュアル」は信頼感や技術力を印象づけるうえで非常に重要です。特に、高品質な製品や精密な設備を扱う企業にとって、写真や動画の見せ方ひとつでユーザーの反応が大きく変わります。
ここでは、以下2つの視点から優れた事例をご紹介します。
- 高品質写真を活かしたデザイン
- 商品や設備を“魅せる”動画の使い方
事例①株式会社タグチ工業

建設機械のアタッチメントを専門に手がける株式会社タグチ工業のホームページは、製品の魅力を視覚的にダイナミックに伝える設計が秀逸です。

特に注目すべきは、製品紹介部分で活用されている3Dアニメーション動画。ユーザーがスクロールすると、製品の各機能が自動的にアニメーションで動き、“使ったときのイメージ”を直感的に伝える構成になっています。
公式サイト:https://www.taguchi.co.jp/
事例②株式会社セラベア

株式会社セラベアは、大阪に拠点を置くベアリング専門の製造企業。同社のホームページは、「写真の力」で魅せる構成が非常に印象的です。
ファーストビューでは、ベアリング製品が画面いっぱいに配置されたビジュアルが目を引きます。背景はシンプルにまとめられており、製品の精巧さや種類の豊富さが視覚的に一目で伝わるデザインです。

TOPページ中盤では、背景動画に取り扱い製品をモチーフにした3D映像を埋め込んでおり、どのような会社で何に強みを持つのかが、一目でわかる設計となっていいます全体的に高級感があり、信頼感を醸成しているホームページの一例です。
公式サイト:https://www.cerabea.co.jp/
情報整理が上手な構成・導線重視のサイト
製造業のホームページでは、「情報の整理力」や「導線設計のうまさ」がユーザー体験を大きく左右します。せっかく魅力的な製品や技術を持っていても、情報が探しにくい・複雑すぎるサイトでは離脱を招いてしまいます。
このパートでは、「欲しい情報にすぐアクセスできる」「資料請求や問い合わせにスムーズにつながる」など、導線設計とUIに強みを持つ事例を取り上げます。
ポイントは以下の2点です。
- カテゴリ分けや検索性の高さ
- 「製品→事例→問い合わせ」までがスムーズにつながる構成
事例①株式会社キーエンス

株式会社キーエンスのWebサイトは、「構成美」が際立った導線設計の好例です。
トップページは非常にシンプルな構成ですが、目的別・カテゴリ別に整理されたナビゲーションにより、ユーザーはストレスなく自分に必要な情報にアクセス可能。製品検索も業界・用途・製品カテゴリなどから瞬時に絞り込め、“製品を探す”までの体験が非常にスムーズです。
加えて、ページ横には常に「資料ダウンロード」「価格・見積」「問い合わせ」ボタンが固定表示されており、コンバージョン導線の設計も非常に明快です。
公式サイト:https://www.keyence.co.jp/
事例②ロンシール工業株式会社

ロンシール工業株式会社は、防水シートや床材、機能性フィルムなどの高機能素材を製造・販売する企業です。多様な製品ラインナップを扱っているにも関わらず、ユーザーが迷わず目的の情報にたどり着けるサイト構成が大きな特長です。

製品ページでは、多数の商品の中からスムーズに希望の商品を探せるように、複合検索が可能な仕掛けになっている点が非常に特徴的。条件設定の際に選択肢にアイコンが用意されており、直感的に分かりやすい検索画面になっています。
目的別に製品を探す際にも非常に直観的な画面から、製品名を見つけることが可能です。
公式サイト:https://www.lonseal.co.jp/
採用に強い“人を伝える”サイト
製造業における採用活動では、「どんな会社なのか」「どんな人が働いているのか」といった「企業の中身を伝える力」が重要になってきています。
特に若年層にとっては、製品や業務内容だけでなく、働く環境や雰囲気のリアルさが企業選びの決め手になることも少なくありません。
社員紹介や現場の様子をうまく打ち出し、人に焦点を当てた魅力的な構成・ビジュアル表現がなされた事例をご紹介します。
チェックポイントは以下の通りです。
- 現場の様子や社員紹介を押し出した構成
- 若手にも刺さるビジュアル&コピーの工夫
- 社風・価値観が自然に伝わるデザイン設計
事例①上松電子株式会社

上松電子株式会社の採用サイトは、製造業にありがちな“堅さ”を一切感じさせない、爽やかで開かれた印象が特徴的です。
白を基調としたクリーンなデザインに、アクセントカラーとして緑と赤を使用。これにより、誠実さ・信頼感・エネルギッシュさが自然と伝わるカラー設計になっています。また、ドローンを用いた空撮映像や、工場の様子、働く人々の写真などを随所に配置し、「人と職場のリアルな姿」を視覚で訴求。

さらに「先輩インタビュー」「働く環境」「制度紹介」などの採用コンテンツも丁寧に作り込まれ、応募者が“働く自分”を自然にイメージできる構成です。
公式サイト:https://www.kojima-tns.co.jp/agematsu/
事例②株式会社三輝

東京都大田区に本社を構える株式会社三輝は、工業用流体継手の専門メーカー。同社のホームページは、製品や技術力よりも“人”を前面に押し出すブランディングが際立っています。

まず目を引くのは、トップページに登場する社員の写真。人を主役にしたストーリーが始まるような構成で、訪問者に親近感を抱かせます。
また、「技」「発想」「情熱」という言葉を軸に、会社の強みや社長の想いを丁寧に可視化している点も特徴的。スタッフ紹介ページでは個性豊かなメンバーの顔がずらりと並び、企業の価値=人材そのものであることを強く打ち出しています。
公式サイト:https://sanki-ota.com/
世界観で勝負するブランディング型デザイン
単なる製品紹介にとどまらず、“企業の哲学や美意識”をデザインで語る時代になっています。特にBtoBでも「印象に残る」「指名で選ばれる」ためには、世界観の表現=ブランディングが非常に重要です。
注目すべきポイントは以下の2つ。
- コンセプト設計が明確なデザイン
- モチーフ・配色・フォントで独自性を打ち出している
企業としての“らしさ”をどう表現するか?という視点で、事例を見ていきましょう。
事例①株式会社カネコ小兵製陶所

岐阜県・土岐市で100年以上の歴史を持つ株式会社カネコ小兵製陶所のWebサイトは、ただの製品紹介にとどまらず、“器に込めた想い”と“職人の物語”を世界観として表現した好例です。
まず、ブランドシリーズごとに構成されたトップページでは、「ぎやまん陶」や「リンカ」などの器が、まるで作品集のように丁寧かつ余白を活かして紹介されています。各シリーズには、開発背景・特長・ビジュアルが整然と並び、ユーザーはプロダクトだけでなく“美意識”そのものに触れる感覚を得られます。
また、和の静けさを感じさせる柔らかいトーンと、ロゴ・タイポグラフィ・配色の統一感が、サイト全体のブランディングに深みを与えています。
公式サイト:https://www.ko-hyo.com/
製造業ホームページ制作で気をつけるべきポイント

これまで優れたホームページ事例を見てきましたが、実際に自社サイトを作る際には押さえておくべき基本ポイントがいくつかあります。
ここでは、製造業におけるホームページ制作で特に重要な3つの視点を解説します。
制作目的・ターゲットを明確にする
最初に必ず行いたいのが、「何のためにホームページを作るのか」「誰に届けるのか」を明確にすることです。目的やターゲットがあいまいだと、見た目が整っていても成果につながらないサイトになってしまいます。
- 製品の問い合わせを増やしたい(BtoBの販促)
- 技術力をアピールして新規取引先を獲得したい
- 若手人材の採用を強化したい
上記のような目的の中で、何を目指すのか・優先するのか、をしっかりと考えましょう。
ユーザビリティ/アクセシビリティの重要性
どれだけ良い情報を載せても、見にくかったり、どこに何があるのか分からなかったりすれば、ユーザーは離脱してしまいます。
<ユーザビリティの視点>
- 情報のカテゴライズ(製品・用途・業界別)
- 回遊しやすいグローバルナビゲーション
- 常に表示される問い合わせボタン など
<アクセシビリティの視点>
- 色のコントラスト/文字サイズの調整
- 多言語対応(英語・中国語など)
- スマホ・タブレット最適化
上記の視点は最低限カバーしたWeb制作を行いましょう。
フォント・写真・動画などの“質感”の統一
製造業にとって信頼感は非常に重要な要素です。サイトに使われるフォント、写真、動画、色味などの統一感があるかどうかで、第一印象が大きく左右されます。
- フォントは可読性重視(業界に合う堅実な書体を選ぶ)
- 製品写真はプロに依頼し、質感や光の処理にもこだわる
- 動画は「静と動」のバランスを取り、冗長にならない構成で
上記のポイントを押さえ、信頼が持てるサイトの構築を目指しましょう。
伝わる・選ばれる製造業のホームページ制作に向けて
ここまで、製造業における優れたホームページ事例と、制作時に気をつけたいポイントを見てきました。その中で共通していたのは、「何を伝えるか」だけでなく、「どう伝えるか」にまで意識が向けられていた点です。
- ユーザーが知りたい情報に迷わずたどり着ける構成
- 写真・動画・フォントで信頼とこだわりを感じさせる演出
- 採用や営業につながるような“導線設計”と“言葉の力”
このような視点を取り入れることで、製造業のホームページもただの情報ページではなく、企業の信頼を高め、売上や採用を支える資産へと進化します。
ぜひ本記事を参考に、自社にとって最適な表現と設計を見つけ、成果につながるサイトづくりを進めてみてください。
Web制作会社の株式会社フリースタイルエンターテイメントでは、製造業における豊富な制作実績がございます。本記事でご紹介したポイントを押さえながら、企業の理念やビジョンが伝わるホームページの制作が可能です。
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