
個人向けの商品やサービスを提供するBtoC企業とは違い、法人向けの商品やサービスを提供するBtoB企業では、見込み顧客に営業をかけて契約を結ぶ形が一般的です。しかし、近年はBtoB企業でもWebマーケティングの取り組みを強化し、順調に売上を伸ばしているという企業も多いです。
そこで今回は、BtoB企業でWebマーケティングに取り組むべきか迷っている方に向けて、Webマーケティングに取り組むべき理由やメリット、具体的な施策などを解説します。Webマーケティングに取り組むまでの流れや注意点も紹介するので、ぜひ最後までご覧ください。
Webマーケティングとは?

Webマーケティングを一言で簡潔に表現すると、「Web上で自動的にお問い合わせが来る仕組みを作る」活動のことです。
Webマーケティングは、インターネットやIT技術を活用したデジタルマーケティングの一部で、ホームページやSNSといった、Webに特化しているマーケティング手法です。Webマーケティングによって得られる効果は様々で、見込み顧客の獲得や認知拡大、採用応募獲得など、課題を解決するための重要な取り組みとして、注目されています。
BtoB企業のWebマーケティングが重要な理由
BtoB企業ではこれまで、訪問営業や電話、FAXを中心としたオフラインの営業スタイルが主流でした。既存顧客との関係維持や紹介による新規獲得に依存するケースも多く、営業担当者のスキルや人脈に左右される傾向がありました。
しかし、現代は顧客側がインターネットで情報を収集し、自ら比較検討を行う時代に変化しています。こうした背景の中で、WebマーケティングはBtoB企業にとって必要不可欠な取り組みであるといえるでしょう。
オウンドメディアやSEO、Web広告、ホワイトペーパーなどを通じて見込み顧客と接点を持ち、Web上で効率的にリードを獲得することで、従来の営業活動をより強化できます。営業とマーケティングを連携させることにより、より戦略的かつ継続的な新規開拓が可能になるのです。
BtoB企業がWebマーケティングに取り組むメリット

BtoB企業がWebマーケティングに取り組むことによって得られるメリットとしては、主に以下のものが挙げられます。
- 効率的なリード獲得が可能になる
- 顧客の検討プロセスに対応できる
- 営業活動の属人化を防げる
- データを活用した戦略立案が可能になる
- ブランディング強化につながる
効率的なリード獲得が可能になる
Webマーケティングに取り組むことで、リード(見込み顧客)を効率的に獲得することが可能です。
従来の営業活動では、飛び込みや電話など、非効率な手法でアプローチを重ねる必要がありました。しかし、Webでは興味関心のあるユーザーが自発的に情報を検索し、サイトを訪れてくれます。
サイトに訪れたユーザーが、資料ダウンロードやお問い合わせといったアクションを起こせば、顧客に対してアプローチしなくてもリードを獲得することが可能です。このように、リードを自然に生み出す仕組みを構築することができるため、属人的な営業に依存せず、安定的かつ効率的な新規開拓が可能になります。
顧客の検討プロセスに対応できる
BtoBの場合、契約を獲得するまでのプロセスは長期かつ複雑で、担当者が複数人にわたるケースも珍しくありません。現代では、まずWebで情報収集を行い、比較検討を進めたうえで商談やお問い合わせに進む傾向が強まっています。
このような検討プロセスに対応するには、Web上で十分な情報を提供し、信頼感を築くことが不可欠です。サービス紹介や導入事例、コラム、ホワイトペーパー、セミナー情報などを整備しておくことで、営業に接触する前から自社の価値を理解してもらいやすくなるでしょう。
結果として、商談の質も高まり、成約率の向上やリード育成の効率化につながります。
営業活動の属人化を防げる
営業活動では、どうしても営業担当者のスキルや人脈に成果が依存しがちです。担当者の交代や退職により、顧客との関係性が途切れてしまうというリスクもあります。
Webマーケティングを活用すれば、情報発信やリード獲得を仕組み化できるため、営業活動の属人化を防ぐことが可能です。例えば、自社サイトを通じて資料請求やお問い合わせが定常的に発生するようになれば、担当者の経験に関わらず、一定の営業成果を得やすくなります。
組織全体で売上を伸ばす「営業の仕組み」を築くうえで、Webマーケティングは有力な手段となるでしょう。
データを活用した戦略立案が可能になる
Webマーケティングの大きなメリットとして挙げられるのが、ユーザーの行動データが可視化できることです。「どのページが読まれているのか」「どの広告がクリックされているのか」など、詳細なデータを蓄積し、分析することができます。
このようなデータを活用することで、「どの施策が効果的だったのか」「どのターゲット層に刺さっているのか」といった、営業活動では掴みにくい部分を把握することが可能です。結果として、より的確なターゲティングやコンテンツの改善、広告予算の最適化など、戦略的な意思決定ができるようになるでしょう。
勘や経験に頼るのではなく、データに基づいたマーケティングを実現できるのが、Webマーケティングの大きな魅力です。
ブランディング強化につながる
BtoB企業にとっても、競争優位性を築くうえでブランディングは欠かせない要素です。Webマーケティングを通じて自社の専門性や価値観、実績などを継続的に発信することで、企業としての優位性や信頼性を高めることができます。
特に、ブログ記事や導入事例などを通じて有益な情報や豊富な実績を発信することで、求職者や取引先にとっても魅力的な存在として映るようになります。製品やサービスの比較だけではなく、「この会社と取引したい」と思ってもらうための土台作りとして、Webマーケティングを通じたブランディングは非常に有効です。
BtoB企業のWebマーケティング施策7選

Webマーケティングと一言で表現しても、具体的に取り組む施策は多岐に渡ります。BtoB企業が取り組むWebマーケティングの施策としては、以下のものが効果的です。
SEO対策
SEO対策とは、検索エンジン最適化ともいい、自社のWebサイトをGoogleやYahoo!などの検索エンジンで上位表示させるための取り組みです。
企業担当者が検索エンジンを利用して情報収集するケースが多いため、SEO対策を実施することで、自社サービスに関心を持つ潜在顧客との接点を自然に生み出すことができます。具体的には、業界や課題に関連するキーワードを盛り込んだ記事コンテンツの作成、ページ構造や内部リンクの最適化、モバイル対応や表示速度の改善などが挙げられます。
SEO対策を実施してサイトを上位表示することができれば、長期的に安定した集客基盤を構築することができるため、多くの企業が取り組んでいる施策です。自社が持つ専門性を活かし、有益な情報を提供することで、信頼感の醸成にもつながります。
オウンドメディア運用
オウンドメディア運用とは、自社が保有するWebサイトやブログを通じて、業界知識・課題解決情報・導入事例などのコンテンツを発信し、見込み顧客との接点を創出する施策です。検索エンジン経由で課題解決のヒントを探している担当者に対し、有益な情報を提供すると共に自社の専門性や信頼性を訴求することで、自然な形でのリード獲得につながります。
また、記事コンテンツは資産として蓄積されていくため、継続的なアクセス獲得やSEO対策としても有効です。BtoBは意思決定までのリードタイムが長いため、オウンドメディアを通じた継続的な情報提供は、検討初期段階の顧客育成にも大きな役割を果たします。
オウンドメディアは正しく運用すれば、将来的に大きな効果をもたらす可能性を秘めています。成功のポイントや成功事例を知りたいという方は、以下の記事を参考にしてください。
ホワイトペーパー
ホワイトペーパーとは、特定のテーマに関する専門的な知識をまとめた資料型コンテンツで、リード獲得や商談創出を目的としたWebマーケティング施策です。ダウンロードにあたってフォーム入力を促すことで、見込み顧客の情報を取得できるため、効率的なリード獲得手法として活用されています。
内容は、市場動向、業界課題の整理、解決策の提示、導入事例などが中心で、顧客の課題意識を深める「教育型コンテンツ」としても効果的です。特にBtoBでは、購買の意思決定に複数人が関わるため、説得材料として活用できるというメリットもあります。
自社のWebサイトやブログの記事などでは伝えきれない専門性を、自然な形で発信できるのがホワイトペーパーの強みです。
ウェビナー
ウェビナー(Webセミナー)は、自社の商品・サービスに関連する専門的な情報をオンラインで配信する施策です。見込み顧客との接点作りやリードナーチャリングに効果的な施策として、ウェビナーに取り組む企業が増加しています。
対面セミナーと異なり、場所や時間の制約を受けずに多くの参加者を集めやすく、録画を活用すれば継続的なコンテンツとして資産にもなります。また、参加者とのリアルタイムな質疑応答を通じて、関心度の高い顧客を把握することも可能です。
開催後にはアンケートや視聴ログを基に、興味関心のある層に対するフォローアップ施策にもつなげやすいため、営業活動との連携にも相性のよいマーケティング手法です。
Web広告
Web広告は、検索連動型広告(リスティング広告)やディスプレイ広告、SNS広告などを活用して、自社サービスの認知拡大や集客を促進するWebマーケティング施策です。
リスティング広告では、ユーザーが検索するキーワードに対して広告を配信し、自社サイトやLPへ誘導できるため、質の高いリードを効率的に獲得することが期待できます。ディスプレイ広告やSNS広告では、ターゲット企業の属性や職種、興味関心に基づいた精度の高い配信が可能で、潜在層への認知拡大やブランディングにも効果を発揮します。
広告運用は、プラットフォームに対して広告費を支払う必要はありますが、ターゲットをコントロールできることや、即効性があることが大きな強みです。効果を測定して改善しながら運用することができるため、BtoB企業にとって非常に有用な施策です。
SNS
BtoB企業におけるSNS活用は、企業の専門性や価値観を発信し、見込み顧客や業界関係者との接点をつくるWebマーケティング施策です。特に、LinkedInやX(旧Twitter)、Facebookなどは、企業アカウントとして業界情報の発信や導入事例の紹介、セミナー告知などに活用することができます。
BtoBの場合、すぐにコンバージョンに至ることは少ないものの、継続的に発信を行うことでブランド認知や指名検索の増加といった間接的効果が期待されます。また、SNS上のエンゲージメント(いいね・シェア・コメント)を通じて、潜在層とのつながりを可視化できることも大きなメリットです。
メールマーケティング
メールマーケティングは、見込み顧客や既存顧客に対して、定期的に情報を届けることで関係性を構築し、購買意欲の育成や商談化を促進する施策です。
具体的な活用方法としては、ホワイトペーパーをダウンロードしたユーザーに対して、業界動向、導入事例、製品の活用ノウハウなどをステップ形式で配信することが挙げられます。
ステップ形式で継続的に配信することで、顧客のニーズを顕在化させ、営業へつなげる役割を果たします。
特に購買までの意思決定が長期化しやすいBtoBでは、検討中の見込み顧客と接点を持ち続ける手段として非常に効果的です。また、メールは配信結果や開封・クリック率などのデータも取得できるため、行動分析に基づいた改善も可能です。
古い手法だと思われがちな施策ですが、MAツールや営業活動と連携することで、より確度の高い商談創出につながります。
Webマーケティングに取り組むまでの流れ

Webマーケティングに取り組む際は、目標の設定や運用体制の構築など、戦略的に計画を立てる必要があります。具体的には、以下のような流れでWebマーケティングへの取り組みを開始しましょう。
- 自社の課題を整理する
- 目的と目標を設定する
- ターゲットを明確にする
- 取り組む施策を決定する
- 運用体制を構築する
1.自社の課題を整理する
BtoB企業がWebマーケティングに取り組む際、最初に行うべきなのが自社の課題を整理することです。ただやみくもにWeb施策を始めても、課題が曖昧なままでは効果的な戦略が立てられません。
例えば、「新規リードが少ない」「商談につながらない」「認知が広がらない」など、現場で感じている悩みを具体的に言語化し、優先順位をつけることが重要です。また、その課題が本当にWebマーケティングで解決できるものかを見極める視点も必要です。
社内の営業部門や経営陣とも認識を共有し、目的と一致しているかを確認することで、施策の方向性がぶれにくくなります。
2.目的と目標を設定する
自社の課題が明確になったあとは、解決すべき課題である「目的」と、目的を達成するための具体的な数値である「目標」を設定しましょう。例えば、「月間50件のお問い合わせ獲得」「3ヶ月で商談を20件獲得」といった具合です。
目的と目標を明確にすることで、施策の優先順位や投資判断がしやすくなり、社内での合意形成や部門連携にもつながります。これらはWebマーケティングで取り組む施策の評価基準にもなり、継続的な改善を行うための軸となります。
3.ターゲットを明確にする
目的が定まったら、誰に向けてWebマーケティングを行うのかを明確にしましょう。ターゲット設定では、業種・企業規模・役職・課題意識・購買のタイミングなどを具体化し、ペルソナを設計することが効果的です。
BtoBでは意思決定者と現場担当者が異なる場合も多いため、それぞれに刺さるコンテンツや導線を意識する必要があります。ターゲットが曖昧なままだと、コンテンツもぼやけ、成果につながりにくくなるため、Webマーケティン施策の成功の鍵を握る要素です。
4.取り組む施策を決定する
課題・目的・ターゲットが明確になった段階で、実行するWebマーケティング施策を選定します。前章で紹介したように、活用できるWebマーケティング施策は多岐に渡りますが、いきなり全ての施策に取り組むことは難しいでしょう。
また、目的やターゲットによっては適さない施策もあることが考えられます。そのため、「誰に、何を、どう届けるか」を軸に、目的に合った施策を取捨選択することが大切です。
むやみに全ての施策を始めるのではなく、リソースや優先順位を踏まえ、段階的に実行していきましょう。
5.運用体制を構築する
施策を決定したら、実行と改善を繰り返すための運用体制を構築します。
Webマーケティングは専門的な知識や経験が必要になることも多いため、自社だけではなく外部に委託することも考えられます。そのような場合、自社でどこまで対応し、外部に何を委託するかを明確にして、担当者・ツール・運用フローなどを整備することが重要です。
営業部門との連携も不可欠なため、マーケティングと営業をつなぐ体制やルールも設けておきましょう。また、KPIに基づいたレポート体制やPDCAを回す会議などの整備も欠かせません。
継続的に成果を出すには、属人化せずにチームとして運用する仕組み作りが鍵となります。
BtoB企業がWebマーケティングに取り組む際の注意点
BtoB企業がWebマーケティングに取り組む際は、以下の点に注意しましょう。
- すぐに効果を求めすぎない
- 間接的な効果にも目を向ける
- 質より量を意識する
すぐに効果を求めすぎない
Webマーケティングの施策は、すぐに効果が出て目標の達成に貢献できるものばかりではありません。目に見える効果が表れるのは、半年後や1年後になることも珍しくないので、すぐに効果を求めるのではなく、長期的な視点で取り組みを継続していくことが重要です。
Webマーケティングは中長期的に効果を発揮する活動なので、施策やフェーズに合わせて適切なKPI(例:お問い合わせ数、リード獲得単価、商談化率)を設定しましょう。すぐに数字が出ない施策でも、継続することによって資産となり、やがて大きな成果を生む可能性があります。
間接的な効果にも目を向ける
Webマーケティングを行う際は、「直接的な成果」だけでなく「間接的な効果」にも目を向けることが重要です。多くの企業は、すぐに問い合わせや受注につながる施策ばかりに注目しがちですが、実際には認知拡大や信頼構築といった中長期的な影響が購買行動に大きく関与しています。
例えば、オウンドメディアの記事が読まれていて商談がスムーズになったり、SNSでの発信が採用やブランディングにも好影響を与えたりと、成果の見え方は多岐にわたります。
BtoBでは検討期間が長く、複数の接点が意思決定に影響するため、「直接的な効果が出ない=失敗」とは限りません。目標とする数値だけでなく、広い視点で評価・改善する姿勢が重要です。
質より量を意識する
BtoB企業がWebマーケティングに取り組む際、「質の高いコンテンツを作ること」に意識が向き、量や発信頻度をおろそかにしてしまうケースがあります。しかし、特に立ち上げ期や認知拡大フェーズでは、ある程度の「量」を意識することが重要です。
どれほど優れたコンテンツでも、発信数が少なければ検索やSNSでユーザーに届く確率が下がり、結果的に機会損失を生んでしまいます。BtoBでは意思決定までの接触回数が多く必要とされるため、継続的に露出し、複数のタッチポイントを提供することが見込み顧客との関係構築につながります。
もちろん質を落として良いわけではありませんが、「まずは量で露出を確保し、後から質を高めていく」という姿勢が、Webマーケティングを実行するうえで重要になります。
Webマーケティングはプロに依頼するのも一案

BtoB企業がWebマーケティングに取り組むことは、営業活動の属人化からの脱却や効率的なリード獲得などに貢献し、将来的に大きな利益を生むことにつながる可能性があります。しかし、施策を実行してみたものの、なかなか成果が出せずに投じた費用以上の効果を出せず、継続することが難しくなるケースも珍しくありません。
そのため、できるだけ早く、多くの成果を求めるのであれば、専門的な知識や経験を持つWebマーケティングのプロに施策の実行を依頼することをおすすめします。Webマーケティングのプロであれば、課題や目的、ターゲットに合わせ、適切な戦略設計や施策選定が可能です。
さらに、各分野に特化した専門知識も有しており、スピーディーかつ戦略的な施策を展開して、成果を最大化することができるでしょう。
株式会社フリースタイルエンターテイメントでは、SEO対策やオウンドメディア運用、Web広告、SNSなど、Webマーケティングに関するサポートを提供しています。BtoB企業様の支援実績も豊富にある専門部署が、課題や目的、予算などに応じて最適な施策を選定し、戦略立案から運用改善まで一気通貫でサポートします。
BtoB企業もWebマーケティングに取り組もう
BtoB企業がWebマーケティングに取り組むことは、営業の属人化から脱却し、効率的なリード獲得や継続的な顧客育成を実現するために欠かせない手段です。長期的な視点で施策を実行し、目的やターゲットに応じた最適なアプローチを取ることで、企業の成長に直結する成果を生み出せます。
もし、「何から始めればいいかわからない」「戦略に不安がある」といった場合は、プロの力を借りて確実な成果を目指しましょう。
株式会社フリースタイルエンターテイメントは、SNSやWeb広告をはじめとした様々な集客ツールの制作・運用を支援。Webマーケティングを最大限に活用して、お客様の集客に徹底的に伴走いたします。集客や採用にお困りの方がいましたら、お気軽にご相談ください。