
2025年8月21日、GoogleはAIが直接回答を生成する「AIモード」の提供を、日本を含む世界180以上の国と地域で開始すると発表し、実際に日本国内でもサービスの展開が始まっています。
2025年9月9日には日本語での提供が開始されましたが、Web制作会社やマーケティング担当者にとって、この変化は単なる新機能の追加ではありません。検索結果の表示方法からユーザーとの接点のあり方まで、デジタルマーケティングの基盤が大きく変わる転換点といえるでしょう。
本記事では、株式会社フリースタイルエンターテイメントのマーケティング担当者が、Google AIモードの詳細機能からWeb制作・SEO対策への具体的な影響、そして今後の対策まで詳しく解説していきます。
Google AIモードとは?従来の検索との違い

Google AIモードは、従来の「10個のリンク」を表示する検索結果から、AIが包括的な回答を生成する対話型検索へと進化させた機能です。
ChatGPTやGeminiのような生成AIの対話形式を採用しており、ユーザーは複雑な質問や要求に対して、AIがリアルタイムで情報を収集・整理・回答してくれる体験を得られます。これまでの検索では必要だった「複数の検索クエリを組み合わせる」「複数のサイトを回遊して情報を収集する」といった作業を、AIが一括で処理してくれるのが最大の特徴です。
現在の利用状況と言語制限
当初英語での応答に限定されていたAIモードですが、2025年9月9日から日本語での提供が順次開始されました。9月10日現在では、多くのアカウントで利用可能となっています。

デスクトップ版の検索画面では、検索窓の右側に「AIモード」ボタンが追加されており、ここをタップするとAIモードが起動し、質問を投げかけることが可能です。

さらにデスクトップ、モバイルともに、通常の検索結果画面に表示される「すべて」「画像」「ニュース」といった検索タブに加え、最も左側に「AIモード」タブが追加されています。このタブをクリックすると、検索キーワードに関する回答や引用元が表示されます。
従来の検索結果との決定的な違い
これまでのGoogle検索は、ユーザーが入力したキーワードに対して、関連性の高いWebサイトを10件程度リスト形式で表示していました。しかし、AIモードではAIが直接回答を生成し、参照元のリンクを埋め込んだ形式で情報を提供します。
この変化により、ユーザーは複数のサイトを訪問することなく、必要な情報を一箇所で得られるようになります。一方で、Webサイト運営者にとっては、従来の「検索結果からのクリック」という集客モデルが大きく変わる可能性があることを意味しています。
Google AIモードの注目すべき7つの新機能
Google AIモードには、従来の検索を大きく進化させる革新的な機能が搭載されています。特に注目すべき機能を詳しく見ていきましょう。
※2025年9月10日時点では、米ユーザー限定の機能となっています。
Deep Search(ディープサーチ)
Deep Searchは、AIが数百件の検索を実行し、専門家レベルの詳細なレポートを数分で作成する機能です。従来なら何時間もかけて行う情報収集と分析作業を、AIが自動で実行してくれます。
例えば、「2025年のWebデザイントレンド」について調べる場合、Deep Searchは業界記事、学術論文、専門家の意見、実際の事例など、多角的な情報源から包括的なレポートを生成します。
Search Live(サーチライブ)
カメラ機能を活用したリアルタイム検索機能で、目の前にあるものを撮影するだけで即座に関連情報を取得できます。
Personal Context(パーソナル文脈対応)
ユーザーの過去の検索履歴やGoogleアプリの利用データを活用し、高度にパーソナライズされた提案を行う機能です。
Agentic Capabilities(エージェント機能)
AIがユーザーの代わりに複雑なタスクを自動実行する機能です。例えば、レストランの予約からチケット購入まで、AIが一連の作業を代行します。
Shopping Features(ショッピング機能)
ECサイト向けの機能として、仮想試着やAIによるチェックアウト代行機能が提供されます。
Custom Charts and Graphs(データ可視化)
複雑なデータセットを分析し、わかりやすいグラフや図表を自動生成する機能です。
Deep Think(深度思考)
Gemini 2.5 Proの実験的機能として、非常に複雑な問題に対して並列思考による高度な推論を行います。
Web・SEO業界への具体的な影響
Google AIモードの本格導入は、Web制作やSEO対策における戦略の立て方に大きな影響をもたらします。
検索流入の変化とゼロクリック検索の増加

最も大きな影響は、ユーザーがWebサイトを直接訪問する機会の減少です。AIモードでは、AIが生成した回答内に参照リンクが埋め込まれる形式となるため、従来のような「検索結果一覧からのクリック」という流入パターンが大きく変わります。
Google AI OverviewsやAIモードの普及により、ゼロクリック検索(検索結果ページで完結し、他サイトをクリックしない検索)の割合がさらに増加することが予想されます。Web制作会社としては、クライアントへの集客戦略提案において、この変化を前提とした新しいアプローチが必要になります。
AIに選ばれるサイト作りの重要性
従来のSEOが「検索エンジンに評価されるサイト作り」を目指していたのに対し、AIモード時代には「AIに信頼され、引用されるサイト作り」という新しい観点が加わります。
具体的には、以下の要素が重要になります。
- 構造化データの充実:AIが情報を理解しやすい形式でのデータ提供
- 権威性の高いコンテンツ:専門性と信頼性を明確に示すコンテンツ設計
- 正確で最新の情報:AIが安心して引用できる情報の質と更新頻度
エージェント機能対応の必要性
AIエージェントがサイトを操作することを前提とした設計思想が求められるようになります。特に重要なのは以下の点です。
- シンプルで直感的なUI/UX設計:AIが迷わず操作できるインターフェース
- 標準的なフォーム構造:AIが認識しやすいフォーム要素の配置
- 明確な導線設計:目的達成までのステップを最小限に抑えた設計
LLMO(大規模言語モデル最適化)の重要性
Google AIモード時代において、最も注力すべきなのがLLMO(Large Language Model Optimization)対策です。従来のSEO対策に加えて、生成AIに正しく理解され、信頼されるための最適化手法が必要になります。
LLMO対策の具体的手法
コンテンツの構造化と明確化を進めることで、AIが情報を正確に読み取れるよう、見出し構造の最適化、重要情報の明確な記載、論理的な文章構成を心がけます。特に、FAQセクションの充実や、結論を明確に示すライティングが効果的です。
権威性シグナルの強化も重要で、運営者情報の詳細記載、専門資格や実績の明示、外部からの評価や引用の獲得など、AIが「信頼できる情報源」と判断する要素を強化します。
技術的最適化では、構造化データマークアップの実装、サイト表示速度の最適化、モバイルフレンドリー対応など、AIが情報を取得しやすい技術環境を整備します。
AIモード時代のリンク戦略とトラフィック対策
Google AIモードでは、従来とは異なるリンク表示方式が採用されています。AIの回答内に埋め込まれる「インラインリンク」や、デスクトップ版で展開されている「リンクカルーセル」など、新しい形式でのリンク露出が重要になってきます。
新しいリンク表示形式への対応

GoogleのRobby Stein氏によると、AIモードの回答内に埋め込まれたリンクは、内容や遷移先の文脈が分かりやすく表示されるため、従来のリンクよりもクリック率が高い傾向にあるという報告もされています。
2/ We’ve found that people really prefer and are more likely to click links that are embedded within AI Mode responses, when they have more context on what they’re clicking and where they want to dig deeper. We’ve launched embedded link carousels in AI Mode responses on desktop,…
— Robby Stein (@rmstein) August 25, 2025
詳細は、Robby Stein氏のXアカウントにてご確認ください。
Web担当者としては、この変化を理解し、AIに選ばれやすく、かつクリックされやすいコンテンツ作りを意識する必要があります。特に、リンク先ページの内容とコンテキストが明確に伝わるタイトルや見出し設計が重要になります。
トラフィック減少への対策
AIモードによりWebサイトへの直接流入が減少する可能性を考慮し、以下の対策を検討することが重要です。
- ブランド認知の強化:AIに引用されることで間接的なブランド露出を狙う
- 専門性の確立:特定分野での権威的地位を築き、継続的な引用を獲得
- 多様な集客チャネルの構築:SNS、メール、直接訪問など複数の流入経路の確保
Google AIモード時代のWeb戦略
Google AIモードの登場は、企業のマーケティング担当者にとっては大きな転換点です。しかし、これは脅威ではなく、新しい価値提供の機会と捉えることが重要です。
AIに選ばれるサイト作りを通じて、結果的にユーザーにとってもより価値の高いWebサイトを制作できるようになります。従来のSEO対策の延長線上にありながら、より専門性と信頼性を重視したサイト設計は、ビジネス成長にも直結します。
AIモード対応やLLMO対策について詳しく知りたい方、具体的な対策をお考えの方は、ぜひお気軽にご相談ください。
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