
近年、検索エンジンの利用動向において「ゼロクリック検索」が注目されています。これは、検索ユーザーがWebサイトへ遷移せず、検索結果画面上で目的の情報を得て行動を完結させる現象のことです。
現在、AI技術の進化に伴いこの傾向は加速しており、Webサイトへの流入数に与える影響は拡大していくことが予想されています。
そこで本記事では、ゼロクリック検索の概要とSEOへの影響、そしてゼロクリック検索時代に講じるべき具体的な対策について解説します。
株式会社フリースタイルエンターテイメントでは、LLMO対策を始め、SEO対策やWeb広告・SNS運用などWebマーケティング全般のサポートを提供しています。AI時代に対応したデジタル戦略をご検討の際は、ぜひお気軽にご相談ください。
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ゼロクリック検索とは?

ゼロクリック検索とは、検索結果画面の情報で目的が達成され、どのWebサイトへも遷移せずに検索が完了する現象のことです。
たとえば、「名古屋 天気」と検索すると、当日の天気や現在の気温、週間天気などの情報が検索結果画面の最上部に表示されます。そうすると、ユーザーは天気予報サイトにアクセスしなくても目的が達成されるので、検索行動が終了してしまうという流れです。
SEO分析ツールであるAhrefsの調査によると、検索結果にAI Overviewsが表示される場合と表示されない場合では、上位ページの平均クリック率が34.5%低下することがわかりました。この調査結果から、従来の「検索順位で1位を目指す」というSEO戦略が大きな転換期を迎えていることがわかります。
※参考:AI Overview が表示されることで、ページへのアクセス数が34.5% 減少!
ゼロクリック検索が増加している背景・要因

ゼロクリック検索が増加している主な背景や原因は、以下の通りです。
- 検索エンジンの進化
- AI技術の進化と生成AIの台頭
- ユーザーの検索動向の変化
検索エンジンの進化
ゼロクリック検索増加の最も直接的な要因は、Googleをはじめとする検索エンジンの検索結果ページが、単なるリンク集から「答えを提示する場」へと進化したことです。検索エンジンの表示機能は年々リッチになっていき、ユーザーはWebサイトをクリックして情報を探す手間なく、検索結果画面だけで目的を達成できる場面が増えました。
現在実装されている主な機能としては、以下のものが挙げられます。
- 強調スニペット
- ナレッジパネル
- アンサーボックス
- AI Overviews
強調スニペット

強調スニペットとは、Google検索結果の最上部に、ユーザーの質問に対する回答を抜粋して表示する特別な情報枠です。ユーザーがWebサイトをクリックせずとも素早く答えを理解できるよう設計されており、回答の参照元となったサイトへのリンクも一緒に示されます。
ナレッジパネル

ナレッジパネルとは、Googleで特定の人物、場所、組織などを検索した際に、検索結果画面に表示される情報パネルのことです。PCでは画面右側、スマートフォンでは上部に表示されるのが一般的です。
Googleが持つ巨大な知識データベースから、対象の概要、写真、地図、関連情報などを自動で集約して表示します。ユーザーがWebサイトをクリックしなくても、基本的な情報をひと目で把握できるように設計されています。
アンサーボックス

アンサーボックスとは、Googleの検索結果で、ユーザーの質問に直接的な答えを提示する情報枠のことです。
「名古屋 天気」「ドル 円」「富士山 高さ」といった検索に対し、Webサイトを開かなくても済むよう、天気予報や為替レート、特定のデータなどを即座に表示します。ユーザーが最も早く答えにたどり着けるよう設計された機能の一つで、ゼロクリック検索の代表的な要因にもなっています。
AI Overviews

AI Overviewsとは、生成AIが検索キーワードに関連する情報を要約して、検索結果画面の上部に表示する機能です。
強調スニペットと表示形式は似ていますが、強調スニペットは1つのWebサイトから情報を抜粋しているのに対し、AI Overviewsは複数のサイトから答えを生成しています。そのため、強調スニペットと比較して、より複雑な質問や多角的なテーマに対して、全体像を素早く把握できるというのが大きな特徴です。
AI技術の進化と生成AIの台頭
近年のAI技術、特に生成AIの進化は、ゼロクリック検索の傾向を決定的なものにしています。先述したAI OverviewsのようなAI検索機能は、ユーザーの複雑な質問に対しても、複数のWebサイトから情報を収集・要約し、自然な文章で回答を生成します。
これにより、ユーザーは複数のサイトを巡って情報を組み合わせる必要がなくなり、検索結果の最上部に表示されるAIの回答だけで満足するケースが増加しました。AIがユーザーの検索意図をより深く理解し、最適な答えを直接提供できるようになったことで、情報収集のプロセスそのものが大きく変化しています。
ユーザーの検索動向の変化
スマートフォンの普及は、ユーザーの検索行動を大きく変化させ、ゼロクリック検索を加速させました。モバイルユーザーは、PCユーザーに比べて移動中や隙間時間など、限られた時間で素早く情報を得たいというニーズが強い傾向にあります。
小さな画面で複数のWebサイトを読み込み、情報を比較検討するのは手間がかかるため、検索結果画面だけで必要な情報が簡潔にまとめられている方が好まれる傾向が強いです。特にローカル検索や、簡単な言葉の意味を調べるような検索では、地図情報や辞書的な説明が検索結果に直接表示されるため、クリックせずに情報を得ることが多くなります。
こうした「即時性」を重視するモバイルユーザーの行動特性が、ゼロクリック検索の増加を後押ししています。
ゼロクリック検索によるSEOへの影響

ゼロクリック検索が増加することによって、SEOには以下のような影響が出てきます。
- オーガニック流入の減少
- キーワード戦略の見直し
- 評価指標の複雑化
- 表示領域拡大への対応
オーガニック流入の減少
最も直接的な影響は、Webサイトへ訪れるユーザーが減少することです。検索結果画面で答えが完結するため、これまで情報を得るために必要だったクリックが発生しなくなります。
特に情報検索型のキーワードで上位表示されても、クリック率が大幅に低下する可能性があります。これにより、サイトへの流入を前提としたコンバージョンや広告収益に、大きな影響を及ぼすでしょう。
キーワード戦略の見直し
単純な質問に答えるだけのキーワードは、ゼロクリックで完結しやすいため、トラフィック獲得の観点での重要性が低下します。今後は、AIが生成した回答だけでは満足できない、より専門的で深い情報を求めるキーワードや、ユーザーの具体的な悩みを解決するような複雑なキーワードでの対策が必要です。
また、購入や来店に直結するキーワードの重要性が増していくと考えられます。コンテンツには、独自データや体験談といった付加価値が不可欠となるでしょう。
評価指標の複雑化
従来SEOの中心的な指標であった「検索順位」や「クリック率」だけでは、成果を正しく測ることが難しくなります。従来の検索順位やクリック率などの指標だけでなく、今後は下記のような項目も評価指標として考慮することが重要です。
- 検索結果画面でどれだけ自社の情報が表示されたか
- AIに何回引用されたか
- ナレッジパネルや強調スニペットに表示されたか
上記のように、検索結果画面上での「視認性」や「影響力」を測定することが重要になるため、評価指標はより複雑化していくでしょう。
表示領域拡大への対応
今後は、クリックされなくても、強調スニペットやAI Overviewsの回答に自社の情報が引用されること自体の価値が高まります。ユーザーは「Googleが信頼できる情報源として選んだ」と認識するためです。
表示領域を拡大することで、サイト名やブランド名が繰り返し表示され、専門分野における第一想起を獲得しやすくなります。これは、将来的な指名検索の増加に繋がる可能性があるため、検索順位で上位に表示されることと同等の価値があるといえるでしょう。
ゼロクリック検索への主な対策

ゼロクリック検索への主な対策は、以下の通りです。
- 強調スニペットの獲得を狙う
- ローカル検索(MEO)対策を強化する
- 生成AI(LLMO)対策を強化する
強調スニペットの獲得を狙う
ユーザーの質問に直接回答する「強調スニペット」として自社コンテンツが表示されれば、ゼロクリックの中でも最も目立つ位置にサイト名や情報を掲載できます。これは、自社がそのトピックにおける権威であり、信頼できる情報源であることをユーザーに示す絶好の機会です。
クリックに繋がらなくとも、ブランド認知度の向上や専門性の証明という大きな価値があります。
ローカル検索(MEO)対策を強化する
「地域名+サービス名」などの検索に対し、Googleビジネスプロフィールは非常に強力です。店舗やオフィスの基本情報(住所、電話番号、営業時間)が検索結果に直接表示されるため、ユーザーはクリックせずとも情報を得て来店や問い合わせに繋がります。
写真の充実、口コミへの返信、投稿機能を活用し、プロフィールを常に最新で魅力的な状態に保つことが重要です。
生成AI(LLMO)対策を強化する
生成AI対策(LLMO)とは、生成AIによる検索結果(AI Overviews等)で、自社コンテンツが回答の参照元として引用されることを目指す対策です。AIが情報を理解しやすいよう構造化データを実装したり、経験・専門性・権威性・信頼性(E-E-A-T)の高い、正確なコンテンツを提供したりすることが重要になります。
直接のクリックに繋がらなくても、回答の根拠として自社名が表示されることで、ユーザーからの信頼やブランド認知を高める効果が期待できます。
LLMOに関して詳しく解説した記事があるので、気になる方はこちらの記事も参照してください。
【LLMO記事へのリンク】
ゼロクリック検索時代におけるSEOの重要性

ゼロクリック検索の増加は事実ですが、SEOの価値が低下したわけではありません。むしろ、SEOを実施していなければ、より淘汰されていく時代になってきたといえます。
強調スニペットや生成AIの回答元として表示されるには、SEOの考え方に基づいて良質で幅広いコンテンツを提供しなければなりません。そして、強調スニペットや生成AIの回答元として引用されれば、クリックされずともユーザーの第一想起を促し、ブランドの権威性を示すことができます。
これは、将来的な指名検索や購買行動に繋がる重要なブランディング活動です。
また、購入や問い合わせなど、具体的な行動に近い意図の強い検索は依然としてクリックされるため、その質の高いユーザーを獲得できるSEOの価値はむしろ高まっています。SEOはもはや単なる流入手段ではなく、ユーザーの認知から購買までのあらゆる段階に関わる、中長期的な事業機会を創出するための重要な施策といえます。
ゼロクリック検索時代こそより本質的な対策を
ゼロクリック検索や生成AIの台頭は、SEOが新たな局面に入ったことを示します。従来の検索順位やクリック数の追求から脱却し、MEOやLLMOを通じて検索結果画面上でのブランド認知と権威性を高めることが不可欠です。
良質な情報発信でユーザーの第一想起を獲得し、中長期的な事業成長に繋げる本質的な施策として、SEOの重要性は一層高まっています。評価指標や戦略を根本から見直し、表示領域を拡大することを意識して対策を進めましょう。
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