日本でも本格展開が始まったGoogleの新機能 「AI Overviews(AIによる概要)」。検索結果画面にAIが生成した要約が表示されることで、ユーザーはページをクリックせずに必要な情報を得られるようになり、検索体験は大きく変わりつつあります。

上記は、企業のWeb担当者にとって決して無視できない変化です。従来のSEO対策だけでは検索流入が減少する可能性があり、オーガニック検索からの流入減少を想定した新たな対策を講じていくことが求められるでしょう。

本記事では、株式会社フリースタイルエンターテイメントのWebマーケティング担当者が、AI Overviewsの仕組みや特徴、今後取り組むべき具体的な対策をわかりやすく解説します。ぜひ自社のSEO戦略を見直す参考にしてください。

株式会社フリースタイルエンターテイメントでは、LLMO対策を始め、SEO対策やWeb広告・SNS運用などWebマーケティング全般のサポートを提供しています。AI時代に対応したデジタル戦略をご検討の際は、ぜひお気軽にご相談ください。

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AI Overviewsとは

AI Overviewsは、Googleの生成AI「Gemini」を活用して検索クエリに対する回答を自動生成し、検索結果ページの最上部に表示する機能です。ユーザーが個別のWebページにアクセスしなくても、検索結果画面上で必要な情報の概要を把握できるようになっています。

AI Overviewsの大きな特徴は、複数の信頼できるWebサイトから情報を収集し、それらを統合してわかりやすい形で要約・表示してくれることです。各情報の出典元も合わせて表示されるため、ユーザーはさらに詳しい情報が必要な場合に参照元サイトへアクセスできます。

日本での導入時期と現在の状況

AI Overviewsは2024年5月にリリースされ、同年8月16日に日本を含む6ヵ国での提供が決定。8月30日より日本でも利用が可能になりました。現在も継続的な改良が加えられており、表示される検索クエリの種類や回答精度の向上が進められています。

SGEとの主な違い

Googleは従来、SGE(Search Generative Experience) という生成AIによる検索機能を試験的に提供していました。その改良版として正式にリリースされたのがAI Overviewsであり、より多くのユーザーに安定した検索体験を提供しています。

AI OverviewsとSGEには、主に以下のような違いがあります。

  SGE AI Overviews
利用者の範囲 Search Labsに登録したユーザーのみ利用可能 全ユーザーが利用可能
Search Consoleでの計測 対象外 通常の検索流入と合わせて計測

AI Overviewsの主な機能

現在日本で利用可能なAI Overviewsの基本機能に加えて、今後展開予定の新機能についても解説します。

基本的な表示機能

AI Overviewsは検索結果画面に「AIによる概要」として表示され、以下の要素で構成されています。

  • AI生成の回答概要
  • 参照元リンク
  • 関連する質問

ただし、これらはすべての検索クエリに表示されるわけではありません。さらに、「関連する質問」が表示されるケースとされないケースがあるなど、検索内容によって挙動も異なります。

今後実装予定の新機能

関連する質問(People also ask)の回答に用いられるなど、進化を続けるAI Overviews。Googleは、今後以下のような新機能を実装予定であることを公式に発表しています。

※2025年10月現在、日本では未実装

3つのモード切り替え

「Original(標準)」「Simpler(簡略)」「Break it down(詳細)」の3つのモードで、表示される情報量を調整可能になります。ユーザーのニーズに応じて簡潔な要約から詳細な解説まで選択できる機能です。

複雑な質問への回答

複数の条件や要求を含む長文の検索クエリに対しても、適切な回答を生成できるよう改良されます。従来は分割して検索する必要があった複合的な質問も、一度の検索で解決可能になります

プラン作成機能

旅行や食事などの計画立案をAIがサポートしてくれます。カスタマイズや他のGoogleサービスへの出力も可能になる予定です。

動画での質問

Google Lensで撮影した動画に対して質問できる機能です。テキストや静止画像だけでは伝わりにくい事象を動画で示しながら検索でき、より直感的で詳細なやり取りが可能になります

広告掲載

一部のbuyクエリ(ユーザーが商品購入を意図して検索するキーワード)において、ショッピング広告が掲載されるようになります。日本ではまだ実装されていませんが、2024年10月には米国のモバイルユーザー向けに正式提供が始まりました。

AI OverviewsがSEOに与える影響

AI Overviewsの普及により、企業のSEO戦略に大きな変化が生じると予想されています。特に注目すべき影響について、詳しく見ていきましょう。

ゼロクリック検索の増加とトラフィック減少

Ahrefsが実施した調査では、検索結果に AI Overview が表示される場合、表示されない検索結果と比べて上位ページの平均クリック率が34.5%低下するとされています。

ユーザーがAI Overviews上の要約だけで満足し、Webページへ訪問せずに検索行動を完結させる、いわゆる「ゼロクリック検索」 が増加していると言えます。

この変化は、とくに情報提供型のコンテンツを中心に集客している企業にとって大きな影響を及ぼす可能性が高いです。従来のSEOだけでは流入が減少し、AI Overviewsに取り上げられること自体を意識したコンテンツ設計が求められていくでしょう。

検索クエリタイプ別の影響度

AI Overviewsの表示傾向と影響は、検索クエリの種類によって大きく異なります。

影響を受けやすい Knowクエリ 「〇〇とは」「〇〇の意味」など
How-toクエリ 「〇〇の作り方」「〇〇の方法」など
比較・選び方クエリ 「〇〇 おすすめ」「〇〇の選び方」など
影響を受けにくい 指名検索・ナビゲーショナルクエリ 企業名や特定サイト名での検索
Buyクエリ 商品購入を目的とした検索
ニュース・情報クエリ 速報性が求められる検索

ユーザーが「知識を得たい」「方法を知りたい」という疑問解決型の検索クエリは、AIが要点をまとめて提示するのに適しています。そのためAI Overviewsが表示されやすく、Webサイトへの流入減少リスクが高まります。

一方で、正確性や最新性が特に重要な領域では、現状のAIには誤答や不十分な説明のリスクがあります。そのためAI Overviewsでの表示もknowクエリやhowtoクエリに比べると限定的であり、オーガニック検索や広告枠が重視されやすいです。

ただし、AIによる回答精度が高まっていけば、現時点ではAI Overviewsが表示されにくいクエリでも今後は対象となり、影響度がさらに高まっていく可能性があります。

AI検索時代の到来によるマーケティング戦略の転換

ゼロクリック検索の増加により、「大量のKnowクエリで集客してコンバージョンにつなげる」という従来のSEO戦略の効果は低下しつつあります。今後は、検索エンジンだけでなく生成AIにも参照されやすいコンテンツ制作が求められるでしょう。

具体的な施策としては、以下のような方向性が挙げられます。

E-E-A-Tの徹底強化

E-E-A-TはもともとSEOにおいて重要視されてきた指標ですが、AI検索に対しても同様に欠かせない要素とされています。

  • Experience(経験):実際の体験に基づいた一次情報の提供
  • Expertise(専門性):分野に特化した深い知識の発信
  • Authoritativeness(権威性):業界での認知度や信頼性の構築
  • Trustworthiness(信頼性):正確で検証可能な情報の掲載

AIは信頼できる情報源を優先的に参照する傾向があるため、以下のような施策を取り入れることで、「権威ある・引用しやすい情報」として認識されやすくなります。

  • 著者情報の明記
  • 専門家による監修
  • 実体験や一次情報の活用
  • 公式性・透明性の強化(会社概要・ポリシーページ等の整備)

構造化された情報設計

AI Overviewsに選ばれやすいコンテンツの特徴として、以下の構成要素が挙げられます。

  • 明確な質問と回答形式:検索意図に対する端的な答えを冒頭に配置
  • 論理的な見出し構造:hタグを用いた階層的な情報整理
  • 箇条書きや表の活用:視覚的に理解しやすい情報提示
  • FAQ形式の導入:ユーザーの疑問を先回りして解決

生成AIがWebサイトから情報を引用する目的は、ユーザーの深い疑問に対して端的に答えを返すことです。そのため、コンテンツの中でも「答えとして明確に切り出せる部分」が特に引用されやすいとされています。

構造化データの活用

膨大な情報の中からユーザーにとって有益な答えを抽出する生成AIにとって、形式化されたデータは特に引用対象としやすいです。以下のような構造化データを実装することで、検索エンジンやAIがコンテンツの意味や関連性をより正確に理解できるようになります。

Article 記事のタイトル、著者、発行日、更新日などの情報を記述
Local Business 物理的な所在地を持つ事業の住所、電話番号、営業時間などの情報を記述
FAQ よくある質問とその回答のペアを記述
Organization 企業や団体などの組織情報(名称、連絡先、ロゴ、住所など)を記述

今後予想されるAI検索の動向

AI Overviewsの機能に限らず、Googleは生成AIを活用してユーザーの検索体験をより便利にするため、継続的に機能追加や改良を行っています。AI検索においては、今後以下のような変化が起こっていくと予想されます。

AIモードの普及・進化

検索結果全体をAI生成コンテンツとして提示する「AIモード」が導入されました。日本では2025年9月9日から順次提供が開始されており、ユーザーの検索体験は大きく変わりつつあります。

現時点では利用率はまだ高くないとされていますが、今後普及が進めばゼロクリック検索への移行が一層加速し、従来のSEO戦略への影響もさらに大きくなると予想されます。

AI Overviewでの広告表示

現在、アメリカではAI Overviews内に広告を表示する取り組みが試験的に配信されています。今後、日本にも展開される可能性が高く、検索広告の在り方そのものが大きく変わると考えられます

従来の検索連動型広告に加え、AI生成コンテンツ内でどのように広告が表示され、ユーザーに認識されるかが鍵となります。今後は、こうした動きを前提とした広告戦略の再設計が求められるでしょう。

AI検索時代に企業が取り組むべき戦略

お伝えしてきたように、生成AIの普及や検索エンジン内での変化により、ユーザーの検索行動は大きな転換期を迎えています。今後はSEO単体に依存せず、以下のような総合的なデジタルマーケティング戦略を展開することが重要です

  • SNSマーケティングの強化
  • コンテンツマーケティングの質的転換
  • オフライン施策を含む多角的なアプローチ(メールマーケティング・展示会など)

第三者メディアでの言及は、生成AIからの信頼性を高める要素のひとつにもなります。

さらに、AI Overviewsにとどまらず、他の生成AIサービスでも自社情報が適切に引用されるよう、LLMO対策を含む包括的なAI対応を進めていくべきでしょう。

AI Overviewsに関するよくある質問

本章では、AI Overviewsに関してのよくある質問にお答えしています。

Q:AI Overviewsを非表示にすることはできますか?

基本的に、AI Overviewsを完全に非表示にする方法は存在しません。ただし、個人用のGoogleアカウントからログアウトする、あるいは法人用のGoogleアカウントにログインしているといった場合には表示されないケースもあります。

Q:AI Overviewsに掲載されることでサイト流入は増えますか?

参照リンクとして掲載されれば一定の流入は期待できますが、多くのユーザーが概要だけで満足してしまい、流入数は大幅に減少すると予想されます。質の高いコンテンツで掲載を狙うと同時に、他の集客チャネルも並行して強化していくことが重要です。

Q:中小企業でもAI検索に合わせた対策は必要ですか?

規模に関わらず対策は欠かせません。特に地域密着型のビジネスでは、「地域名+サービス名」といった検索への対応や、Googleビジネスプロフィールの最適化が効果的です。

業界特化の専門性を前面に打ち出し、E-E-A-Tを強化することも、生成AIに参照サイトとして取り上げられやすくなるための重要な施策といえます。

AIに選ばれるコンテンツを目指そう

AI Overviewsの登場により、企業のSEO戦略は大きな転換点を迎えています。従来の「とにかく上位表示を目指す」戦略から、「AIに選ばれる高品質なコンテンツを制作し、多角的な集客チャネルを構築する」戦略への転換が必要です。

AI Overviewsの影響を恐れるのではなく新たな機会として捉え、ユーザーファーストのコンテンツ制作と包括的なマーケティング戦略で、競合他社に先駆けた対応を行いましょう。

株式会社フリースタイルエンターテイメントでは、Webマーケティング専任チームがAI Overviewsへの対応を含む最新のLLMO対策をサポートいたします。SNSやWeb広告の運用などにも対応可能であり、包括的なデジタルマーケティング支援を行っております。

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