
パンフレットによる情報発信には構成やデザインを自由に企画できるというメリットがあり、病院案内における主要な方法の1つです。
そうした背景もあり、近年は病院の広報担当の方から、病院案内パンフレットや院内の各種広報物の作成依頼をいただく機会が増えてきています。
本記事では、そんな病院案内パンフレットのおすすめデザインを9点紹介していきます。自院のパンフレットを改善しようと考えている方、新しく広報物を作成しようと考えている方はぜひご一読ください。
病院案内パンフレットの魅力

病院案内パンフレットによる情報発信の魅力は多数挙げられますが、ここでは特に大きな3つを見ていきましょう。
紙だからこそできる自由なデザイン
Webでは実装することが難しいようなデザインも、パンフレットでは比較的容易に表現することができます。柔らかな色味のグラデーションや、読み込み速度を気にすることなく写真を大きく配置する紙面構成などは、紙媒体ならではの工夫です。
奇抜で独特なものを作る必要はありませんが、高い自由度でターゲットの印象に残るデザインを生み出しやすい点は、パンフレットの大きなメリットだと言えます。
情報を整理して効率的に伝えられる
限られたページ数の中に伝えたい情報を厳選して掲載するため、重要なポイントが体系的に整理されています。Webサイトのように複数のページを行き来して情報を探す手間がなく、病院の概要を素早く把握するのに適しています。
インターネットに慣れていない高齢者に対する配慮
診療科によって異なりますが、病院を利用する方の中には高齢の方も多く含まれます。そして、高齢の方はWeb上で情報を収集することに慣れていない場合も少なくないでしょう。
どれだけ見やすくわかりやすいWebサイトを作っても、ターゲットに見てもらえなければ効果は発揮できません。Webサイトでの発信も重要ですが、それと同じように紙媒体であるパンフレットによる情報発信も欠かせないのです。
見やすい病院案内パンフレットデザイン9選
ここからは、見やすくて伝わりやすい病院案内のパンフレットデザインを紹介していきます。
加須病院

弊社の制作実績です。患者や地域の方、そして近隣の医療機関をターゲットに、新設された施設外観を大胆に表紙に使用することで、病院の規模感と信頼感を表現しています。
全体は水色を基調にまとめ、清潔感と安心感を演出。さらに、ユーザーの視線の流れを考慮したレイアウト設計により、見やすさにもこだわっています。閲覧者に負担をかけず、伝えたい情報をスムーズに届けられるパンフレットだと言えます。
豊田地域医療センター

こちらのパンフレットも弊社の制作実績になります。病院の建て替えに伴い、病院案内パンフレット、看護部パンフレット、健診センターパンフレットなどを一新しました。
オレンジを基調としたカラーリングは柔らかな印象を与え、さらに随所にイラストを配置することで温かい雰囲気がイメージできるようにデザインされています。
写真はプロのカメラマンによって撮影されたものを使用しているため、パンフレットのデザインとしっかりマッチしており統一感が感じられます。
地域の方々に信頼される病院として、どの年齢層の方も見やすい構成・デザインを重視して制作されている点が、このパンフレットの特徴です。
公立陶生病院

こちらも同様に、弊社が制作したパンフレットです。病院サイトのリニューアルに伴い、病院案内パンフレットを刷新しました。
青色で統一されたデザインが特徴的で清潔感のある印象を受けますが、尾張東部医療圏唯一の公立病院として、堅実さと信頼感をストレートに表現したパンフレットでもあります。
ブランディング目線でイメージの統一も図ってデザインされており、ターゲットに配慮した企画・制作が行われています。QRコードを掲載しているページがあり、スマートフォンとの連携も意識したデザインとなっている点も特徴的です。
静岡県立総合病院

最大の特徴は、紙媒体ならではの強みを活かし、写真を大きく配置したダイナミックなレイアウトです。
病院概要のページでは、病院の外観写真を見開き1ページの全面に背景として使用することで、さわやかさと清潔感を表現しています。
がん医療・救急医療・循環器医療の紹介部分では、現場の臨場感ある写真を大きく掲載し、高度医療に対する信頼性と安心感を伝えられる構成としています。
地方独立行政法人 くらて病院

くらて病院のパンフレットは、茶色や緑を基調とした落ち着いた色味でまとめ、全体として落ち着いた雰囲気を演出しています。掲載内容に応じて色味を変えることで情報が整理されており、視覚的にもわかりやすい構成が特徴です。
診療内容の紹介ページでは、医療スタッフや患者さんといった「人」に焦点を当てた写真を大きく配置し、温かみのある印象を強調。一方、施設紹介のページでは、院内の写真を豊富に掲載することで、病院全体の雰囲気を直感的に伝えられるよう工夫しています。
写真を情報に合わせて効果的に配置することで、見る人にとって理解しやすく、病院の魅力を自然に伝えています。
医療法人社団 松和会 池上総合病院

白を基調とした清潔感のあるデザインが特徴のパンフレットです。
- 幅広い医療サービスで地域を支える
- 365日の救急医療で地域住民を守る
各ページに上記のような端的なコピーを添えて情報を整理。一般的に病院パンフレットに掲載されている情報量は多く、読み込むには分量がありますが、一目で内容を把握できるよう工夫されています。
コピーには地域密着の姿勢を打ち出す言葉が積極的に用いられており、病院が持つ信頼感や地域への貢献姿勢を強調するパンフレットに仕上がっています。
東北大学病院

規模の大きさが伝わる東北大学病院の外観が表紙に使用されており、権威のある病院であることがイメージでき、安心感を与えるデザインとなっています。
淡い水色がメインカラーとして設定されており、さわやかで落ち着いた印象を受けます。画像だけでなく表やグラフを用いた構成で、テキストだけではわかりづらい内容もイメージしやすいです。
さらに、ページの内容によって色数や画像数を増減させる工夫も施されているので、メリハリがあって読み進めやすいです。色の組み合わせや画像の配置などを効果的に活用しており、デザインによって生まれるインパクトをうまく利用したパンフレットだと言えます。
済生会熊本病院

済生会熊本病院のパンフレットの特徴は、写真と文字のバランスが良く、見やすいという点です。
大きめのサイズの写真を使用しているため、インパクトがあるのが特徴。さらに写真との相互作用が生まれるような大きさ、カラーのフォントで要素を配置しており、ストレスなく読み進められる構成です。
1935年創立の長い歴史を持つ済生会熊本病院のイメージを反映したパンフレットデザインとなっており、随所で確かな実績や信頼感を感じられるような写真が使われています。落ち着いたデザインからは、安定感のある印象も受けます。
読み手に安心を与えられるようなデザインを検討している方にとっては、特に参考になるパンフレットだと言えるでしょう。
小倉記念病院

小倉記念病院の最大の特徴は、写真をふんだんに使った構成となっている点です。勤めている方の写真が多く掲載されており病院のイメージがわきやすく、各写真のクオリティも高いため誠実さが感じられます。
余白のあるすっきりとした構成で読みやすい点も、小倉記念病院パンフレットの特徴です。全体を通してクールな印象が感じられ、高い技術力と最新の医療設備を備えている病院であることを想起させるデザインとなっています。
病院案内パンフレットの主な種類と目的

病院パンフレットに掲載する内容や構成、デザインは、目的やターゲットによって大きく異なります。用途は大きく以下の3種類に分けられます。
総合案内パンフレット
病院の全体像を伝えることを目的とし、病院の特徴や診療科、医療設備などを幅広く紹介します。患者さんやご家族が病院を選ぶ際の参考資料となる可能性が高いため、わかりやすさと魅力的な表現が欠かせません。
まずは幅広い用途に使える基本的なパンフレットを整えたい、または取引先に病院の概要を丁寧に伝えたいと考える場合に適しています。
患者向けの案内としてはもちろん、職員採用の広報資料や、医療機関同士の連携ツール、さらには病院機能評価の審査用資料としても活用可能です。以下のような内容を盛り込むのが良いでしょう。
理念・基本方針 | 病院設立の背景や使命、掲げる医療の方向性、患者第一の姿勢、地域への貢献、またそれを実現するための行動指針など。 |
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沿革・歩み | 開院した年、創設者の想い、これまでの発展の歴史、地域で初めて導入した医療技術や専門医療の実績など。 |
診療科一覧と紹介 | 診療科ごとの概要、得意とする分野や特徴、主な対象疾患、治療方法、在籍する医師数や専門医資格の有無など。 |
医療設備の紹介 | 高度な医療機器の写真と機能説明、健康診断や人間ドックの設備、リハビリ機器など。 |
院内施設の案内 | 外来や病棟の雰囲気、待合室や売店・レストラン、キッズスペースなど、患者が快適に過ごせる環境。 |
アクセス・連絡先 | 電話番号、受付時間、休診日、予約専用の窓口、問い合わせ用メールアドレス、公式WebサイトURL、交通手段など。 |
診療案内パンフレット
初診や再診、あるいは他院からの紹介で受診される患者さんに向けて、診療の流れや注意点などを案内するために活用されるパンフレットです。診察をスムーズに進めるとともに、患者さんの不安や疑問を軽減し、安心して診療を受けてもらうことを目的としています。
- 特定の診療科での受診ニーズが高くオペレーションを効率化したい
- 患者さんに診療内容や担当医師の情報をよりわかりやすく伝えたい
- 診療科の専門性や独自の強みを効果的にアピールしたい
診療案内パンフレットは、このような病院に適しています。主な掲載内容は以下の通りです。
診療科の特徴・強み | 得意とする分野や主要疾患、導入している医療機器、学会・論文発表やメディア掲載の実績など。 |
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対象となる疾患・治療内容 | 主に扱う病気の名称、一般的な治療法、最新の治療オプション、予防医療や生活習慣改善の取り組みなど。 |
診療の流れ | 初診から検査・診断・治療・経過観察に至るまでのプロセス、所要時間、入院の流れ、持ち物など。 |
患者さんへのご案内 | 初診時に必要な書類や保険証、現在服用している薬の情報、アレルギー申告、検査前の飲食・服薬制限など。 |
医師紹介 | 担当医の写真、専門分野、得意とする治療や研究分野、経歴、所属学会、人物像が伝わるプロフィール。 |
診療実績 | 年間の手術件数や治療件数、学会発表数、症例の紹介、統計データやグラフ、患者の声など。 |
診療時間・予約方法 | 外来の曜日や時間、休診日、予約の手順、Web予約システムの有無、急患対応の可否など。 |
採用案内パンフレット
看護師や医療スタッフの採用を目的に作成されるパンフレット。病院の魅力や働きやすさを伝え、優秀な人材の確保につなげます。入職後に「イメージと違った」というミスマッチを防ぐためにも、可能な限り詳細な情報を提供することが重要です。
教育制度や研修体制、実際に働くスタッフの声などを掲載すれば、仕事のやりがいや職場の雰囲気をリアルに伝えることができます。以下のようなポイントを意識して作成するのが良いでしょう。
- 求職者が知りたい情報を中心に構成する
- 「働く自分」を想像させる内容にする
- 良い面だけでなく、求められる姿勢や覚悟も伝える
病院パンフレット制作の具体的な流れ
病院パンフレットの制作では、ただデザイン会社に依頼するだけでなく、企画設計や関係者間の合意形成といった事前準備が非常に重要となります。基本的な制作の流れは以下の通りです。
目的の明確化 | 患者向け、採用向け、他医療機関向けなど、関係者間で目的や意図を共有する。 |
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コンセプト設計・構成案の作成 | 「誰に・何を・どう伝えるか」を定め、ページ構成案(台割)を制作会社と共有する。 |
原稿や写真の準備・デザイン制作 | 掲載する文章や写真を整理する。必要に応じてプロのカメラマンやコピーライターの活用も有効 |
校正・承認 | 初稿確認後、修正・承認を繰り返す。承認者とスケジュールを事前に決めておくことで遅延を防止できる。 |
印刷・納品 | 最終承認後、印刷工程を経て完成。納品後は配布や設置計画に沿って活用する。 |
効果的な病院パンフレットデザインのポイント

病院案内パンフレットのデザインを考える際には、以下のポイントが重要です。
「安心感」と「信頼感」をベースに作成する
一般企業のパンフレットでは、デザイン性やインパクトを重視するケースも少なくありません。しかし、病院のパンフレットにおいては、医療機関として欠かせない「安心感」と「信頼性」を与えるデザインが基本となります。
その上で、病院ならではの特色や強みをビジュアルや言葉で表現するのが良いでしょう。患者やそのご家族、地域の医療機関や取引先、さらには採用候補者に対しても安心感を伝え、信頼関係を築く大切な役割を果たしてくれます。
コンセプトに沿ったデザインを心掛ける
パンフレットを制作する際に最も大切なのは、「誰に・何を・どのように伝えるのか」というコンセプトを明確にすることです。
しっかりとしたコンセプトを定めることで、ターゲットに合わせた情報整理やデザインの方向性が決まり、伝わりやすく効果的なパンフレットに仕上げることができます。
掲載する情報を絞り込む
病院の魅力を伝えるパンフレットを制作する際には、「せっかく作るのだから」と欲張って多くの情報を盛り込みたくなるものです。しかし、内容を詰め込みすぎると読みにくくなり、読者の関心を失わせてしまいかねません。
コンセプトに沿って必要な情報を取捨選択してポイントを絞り込むことで、伝えたい内容が明確に伝わり、より効果的なパンフレットに仕上がります。
医療用語や専門用語に注意する
患者やその家族に向けたパンフレットでは、専門用語は極力避け、平易な言い回しに置き換えることが基本です。医学用語が必要な場合は注釈や図解で補足し、誤解の余地を減らします。
あわせて、表現の適法性にも十分に配慮しなければなりません。医療機関の広告は主に医療法の「医療広告ガイドライン」に準拠する必要があり、医療機器・医薬品等に触れる表現は薬機法の範囲内で記載します。
魅力的なデザインのパンフレットで信頼を形に
インターネットを活用した情報発信は欠かせませんが、紙媒体だからこそ表現できるデザインや伝えられるメッセージもあります。特に医療分野では、その重要性がより強く表れていると言えるでしょう。
本記事で紹介したポイントを押さえ、患者や家族、地域の医療機関、採用候補者といったターゲットのニーズに応える病院案内パンフレットを制作してみてください。
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